汚泥の底で煌めく一等星 前編12話 無為の努力》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
目を覚ますと私は知らない場所にいた。夕暮れの日差しが差し込む白い部屋。頭に走る激しい痛みと、右腕から感じる鈍い痛み。それらの情報から、ここが病室であることを直感した。病室にある時計を確認すると、水曜日の午後五時。どうやら私は、熱中症で倒れて…
小説 小説─神薙羅滅先生作品─《汚泥の底で煌めく一等星》学生百合
汚泥の底で煌めく一等星 前編11話 人生切除計画》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
「あの……真夏に冬服を身につけるのは、個人の自由かもしれませんが、授業中にヘルメットを被るのは、いかがなものかと思います」麗華れいかのいない教室で、いつも私の容姿を理由に煽ってくる国語の教師が、今回ばかりは私の常軌を逸した奇行にふにゃふにゃ…
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汚泥の底で煌めく一等星 前編10話 この想いは灼熱のように》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
失意の中、一抹の希望を抱えて家に帰った私は、この世界を満たす理不尽に苛まれていた。なんで……なんで私の人生はいつもこうなんだろう。この顔のせいで虐げられて、差別されて、家族も、居場所も何もかも失って……今度はこの顔で、決して届くことのなかっ…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編9話 一目惚れの理由》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
麗華れいかさんが私の家に遊びに来てからもうすぐ一週間が経とうとしている。明日の土曜日、私は麗華さんの家に遊びにいく。クラスの誰も知らない、麗華さんのファンでさえも知らない、麗華さんの家に、私が遊びにいく。何をどう間違たら、こんなことになるん…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編8話 分厚さ100カラット》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
麗華れいかさんが家に遊びに来てから、どれくらい時間が経っただろう。午後六時を回ろうというのに、窓ガラスからは眩い夕日が差し込んでいて、電気代が節約できて助かる季節。そんな太陽の恵みとは裏腹に、麗華さんとの間に流れる空気はとても張り詰めている…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編7話 毒虫の棲家》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
「い、いらっしゃい」「お邪魔します」晴れた土曜日の昼下がり。私ほど醜いわけじゃないけど、キレイでもないアパートの二階に、いま、世界で最も美しい高校生がいる。「蟲惑はこういう家に住んでるんだ」世界で一番のモデルさんの家とは違うでしょうね。そん…
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