《汚泥の底で煌めく一等星 後編9話 騎士の蛮行》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
恋をしたら、その人を自然と目で追ってしまう。そんなありきたりな恋愛描写を、清涼飲料水のCMで演じた。る東雲麗華しののめれいかはその演技に苦労しなかった。でも、私はその演出があまりにも欺瞞に満ちているように感じて、苦しかった。こんな安直に愛が…
小説 小説─神薙羅滅先生作品─《汚泥の底で煌めく一等星》学生百合
《汚泥の底で煌めく一等星 後編8話 一目惚れの感触》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
蟲惑こわくちゃんに条件付きの三行半を突きつけてから五日が経った。この五日間はモデルの仕事が忙しくて、学校に行く暇さえなく、蟲惑ちゃんがどうなったのかを知らない。それを確かめるために、私は学校に向かっている、私たちは恋人同士とはいえ、何か強い…
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《汚泥の底で煌めく一等星 後編7話 心の辻褄合わせ》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
今日は蟲惑こわくちゃんが私の家に遊びに来る日。どういうわけか最近の私は、蟲惑ちゃんと二人きりでいられる時間を作るために、土曜日は必ずモデルの仕事を休んでいる。マネージャーには休む理由を聞かれるけど、モデルとしての目標を達成してどうすればいい…
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《汚泥の底で煌めく一等星 後編6話 膿んだ過去に救いの手を》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
蟲惑こわくちゃんの家に来てから四時間が経った。予想していたことだけど、蟲惑ちゃんと一緒にいても退屈だった。会話も続かないし、話題にするほどのこともない。だけど、不思議と不愉快ではなかった。モデルの仕事をしていて、楽屋や舞台裏で待つことになる…
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《汚泥の底で煌めく一等星 後編5話 求められるもの》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
恋人の家に遊びにいく。それは当たり前の行為のはずなのに、心がささくれ立ってしまう。蟲惑こわくちゃんの家に向かう足取りが、期待からではなく苛立ちで加速していく。蟲惑ちゃんのことが特別嫌いなわけでも、好きなわけでもない。ただ、二人でデートしたあ…
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《汚泥の底で煌めく一等星 後編4話 悍ましきを携えて》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
デートの定番である映画を見終えた私たちは、当てもなく街を彷徨っていた。見るからに私とのデートで疲弊している蟲惑こわくちゃんを連れて歩くのは、とても複雑な気分だった。私と一緒にいることで疲れる人は少なくない。美人だからとか、有名人だからだとか…
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《汚泥の底で煌めく一等星 後編3話 繋がりの本質》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
「どう、返事は決まった?」私が蠱惑こわくちゃんに告白した路地裏で、返事を求める。まぁ、聞かなくても答えはわかっている。これまでずっと、同じ学校にいる有名人を無視し続けていたあの蟲惑ちゃんが、私が机に仕込んで置いた誘いを無視せず、この場に現れ…
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《汚泥の底で煌めく一等星 後編2話 思わぬ収穫》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
東雲麗華しののめれいかから連想される雰囲気からは隔絶した、普通の高校にある普通の教室。ここにいる間も、カメラの前に立っている瞬間も、表彰台に立っている時間さえ、私にとっては同じだった。私はただ、求められた東雲麗華を与えるだけ。雑誌を買ったと…
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《汚泥の底で煌めく一等星 後編1話 失望への片道切符》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
一人きりで住んでいるタワーマンションのリビングで、明日発売の雑誌を手に取りながら思う。こんなことを続けて、私の願いは叶うのだろうかと。この雑誌の表紙を飾ることは、確かに私の目標だった。世界で最も有名で、権威のある海外のファッション誌。その表…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編13話 一目惚れ最前線》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
長かった授業が終わり、放課後がやってくる。ほんの少し前までは、すぐに荷物を片付けてバイト先に向かっていたけど、もうそうする必要はない。将来的には働く状態に持っていかないと、経済的にも、麗華れいかが好きになってくれた容姿を維持することもできな…
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汚泥の底で煌めく一等星 前編12話 無為の努力》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
目を覚ますと私は知らない場所にいた。夕暮れの日差しが差し込む白い部屋。頭に走る激しい痛みと、右腕から感じる鈍い痛み。それらの情報から、ここが病室であることを直感した。病室にある時計を確認すると、水曜日の午後五時。どうやら私は、熱中症で倒れて…
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汚泥の底で煌めく一等星 前編11話 人生切除計画》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
「あの……真夏に冬服を身につけるのは、個人の自由かもしれませんが、授業中にヘルメットを被るのは、いかがなものかと思います」麗華れいかのいない教室で、いつも私の容姿を理由に煽ってくる国語の教師が、今回ばかりは私の常軌を逸した奇行にふにゃふにゃ…
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