汚泥の底で煌めく一等星 前編10話 この想いは灼熱のように》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
失意の中、一抹の希望を抱えて家に帰った私は、この世界を満たす理不尽に苛まれていた。なんで……なんで私の人生はいつもこうなんだろう。この顔のせいで虐げられて、差別されて、家族も、居場所も何もかも失って……今度はこの顔で、決して届くことのなかっ…
小説 小説─神薙羅滅先生作品─《汚泥の底で煌めく一等星》学生百合
《汚泥の底で煌めく一等星 前編9話 一目惚れの理由》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
麗華れいかさんが私の家に遊びに来てからもうすぐ一週間が経とうとしている。明日の土曜日、私は麗華さんの家に遊びにいく。クラスの誰も知らない、麗華さんのファンでさえも知らない、麗華さんの家に、私が遊びにいく。何をどう間違たら、こんなことになるん…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編8話 分厚さ100カラット》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
麗華れいかさんが家に遊びに来てから、どれくらい時間が経っただろう。午後六時を回ろうというのに、窓ガラスからは眩い夕日が差し込んでいて、電気代が節約できて助かる季節。そんな太陽の恵みとは裏腹に、麗華さんとの間に流れる空気はとても張り詰めている…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編7話 毒虫の棲家》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
「い、いらっしゃい」「お邪魔します」晴れた土曜日の昼下がり。私ほど醜いわけじゃないけど、キレイでもないアパートの二階に、いま、世界で最も美しい高校生がいる。「蟲惑はこういう家に住んでるんだ」世界で一番のモデルさんの家とは違うでしょうね。そん…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編6話 美の後遺症》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
映画館を出た私たちは、何か目的があるわけでもなく、町を歩いていた。私の右手は麗華れいかさんに掴まれたまま。それは周囲に恋人同士であることをアピールするかのように執拗で、ねちっこく、とても窮屈だった。それでも私は麗華さんの左手を受け入れ続ける…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編5話 弱者の誇り》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
「あの……麗華れいかさんはどこに向かってるの?」「恋人からさん付けで呼ばれるのはあんまり好きじゃないな」「れ……」麗華。そんな言葉が完成する寸前になって、理性が言葉を止めた。心の中で“麗華さん“を”麗華”と呼び捨てにすると、心が…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編4話 不本意な好意》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
照りつける太陽による溶けそうな暑さがほんの少しだけ落ち着いた放課後。夕日さえ入り込めないほど入り組んだ、熱気の篭る路地裏に向かうと、約束通り麗華れいかさんが待っていた。「どう、返事は決まった?」私のことを本当に待ってくれていた。帰る場所のな…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編3話 抗いと屈服》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
バイトを終えて、一人きりの家に戻っても、私は放課後に起きた出来事が一体何だったのか、そもそも現実だったのか……何一つわからないままだった。ただ一つ確かなのは、私が身に付けている制服のポケットには、麗華れいかさんの携帯電話の番号が書かれている…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編 2話 欺瞞に満ちた出会い》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
《汚泥の底で煌めく一等星 前編 2話 欺瞞に満ちた出会い》 作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu) いつもの朝。いつもの教室。一人世界から取り残され、ないものとして扱われている私。生まれながらに汚れている私があるものとし…
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《汚泥の底で煌めく一等星 前編1話 煌めきに呪詛を込めて》作:神薙羅滅(Kannagi Rametsu)
毒島蠱惑(ぶすじまこわく)は、その醜い容姿のせいで、不遇な幼少期を送る。そんな彼女は、自らの醜さを恨むあまり、この世に存在するあらゆる“美しいもの“を憎悪して、日々を生き抜いていた。
そんなある日、蟲惑は突然、同じクラスのトップモデルとして活躍する東雲麗華(しののめれいか)に一目惚れしたと告白される。
自分の容姿を誰よりも理解している蟲惑は、麗華の告白には何か裏があることを察しつつも、人生を逆転するために、美人を籠絡しようと理想の恋人を演じ始める。
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